老後を快適に安心して過ごすには?

☆十分な判断能力があるうちに次のことを検討しましょう。

財産管理等委任契約

 判断能力は十分でも、車椅子生活・寝たきり状態・手が不自由で文字が書けないなどのため、預貯金の払戻しや、印鑑証明書などの公的証明書の取得などが困難な場合に、家族や信頼できる人にこれらの事務を代行してもらうよう、包括的な委任契約を結ぶものです。
 実際には、このような委任契約を、次に説明する「任意後見契約」と組み合わせて締結する場合が多いようです。

任意後見契約

 これは、判断能力がなくなった後のことを、あらかじめ決めておくものです。
 十分な判断能力があるうちに、将来、判断能力が不十分な状態になった場合に備え、あらかじめ自らが選んだ代理人(任意後見人)に、自分の生活・療養看護や財産管理に関する事務について代理権を与える契約です。
 任意後見人に委任できることは、
 1.財産の管理
 自宅等の不動産や預貯金等の管理、年金の管理、税金や公共料金の支払い等々です。
 2.介護や生活面の手配
 要介護認定の申請等に関する諸手続、介護サービス提供機関との介護サービス提供契約の締結、介護費用の支払い、医療契約の締結、入院の手続、入院費用の支払い、生活費を届けたり送金したりする行為、老人ホームへ入居する場合の体験入居の手配や入居契約を締結する行為等々です。
 なお、任意後見人の仕事は、自分でおむつを替えたり、掃除をしたりという事実行為をすることではなく、あくまで介護や生活面の手配をすることです。
※任意後見契約書は、公正証書によって作成しなければなりません。

 実際に判断能力が低下してしまった場合には、任意後見人になることを引き受けた人(「任意後見受任者」といいます。)や親族等が、家庭裁判所に対し、本人の判断能力が衰えて任意後見事務を開始する必要が生じたので、「任意後見監督人」を選任してほしい旨の申立てをします。
 そして、家庭裁判所が、任意後見人を監督すべき「任意後見監督人」を選任すると、そのときから、任意後見受任者は、「任意後見人」として、契約で決めた仕事を開始することになります。
 その後は、任意後見監督人の監督の下で、任意後見人が、任意後見契約で決めた仕事について、代理して契約などをすることによって,本人の意思にしたがった適切な保護・支援をすることになります。

☆その他の契約

死後事務委任契約

 本人(委任者)が第三者(個人、法人を含む。)に対し、亡くなった後の葬儀、納骨、埋葬に関する事務についての代理権を付与して、死後事務を委任する契約です。
 ☆この契約は任意後見契約と一緒に契約することができます。

尊厳死宣言公正証書

 「尊厳死」とは、回復の見込みのない末期状態の患者に対して、生命維持治療を差し控え又は中止し、人間としての尊厳を保たせつつ、死を迎えさせることを言います。
 「尊厳死宣言公正証書」とは、本人(嘱託人)が自らの考えで尊厳死を望む、すなわち延命措置を差し控え、中止する旨等の宣言をし、公証人がこれを聴取し、その結果を公正証書にするものです。