過払って何?

「過払い」で損していませんか?

 私は、「過払い」について以前から危惧していたことがあります。それは、「過払い金」を請求できる人(つまり長い期間、高金利で借りていた人)が、知らないうちに損をしていないか?ということです。

 簡単に言いますと、「司法書士などに依頼して問題は無かったですか?」ということです。次のようなことをチェックしてください。

《チェック事項》
・「引き直し計算」について説明を受けましたか?
・「引き直し計算書」を見せられましたか?そして、それを自分でチェックしましたか?
・「過払い金額」がいくらかチェックしましたか?
・「分断」について説明を受けましたか?
・「最終的にいくら回収したか?」を、和解書や判決文などでチェックしましたか?
・過払い金から報酬や実費を差し引いた「計算書」を貰って、説明も受けましたか?
・そして、受け取るべき金額をキッチリ受け取りましたか?

 中には、弁護士や司法書士ではない人に依頼した人がいるでしょう。そういう人は、もっと問題が大きいのですが・・・。

 さて、以上のようなことを書きましたが、「引き直し計算書」って何?という方も多いのではないかと思いますので、「過払い金」に関することを、できるだけ分かりやすく、以下に書こうと思います。 

「過払い」とは何だ?

 「過払い」とは、読んで字のごとく「払いすぎ」のことです。世の中には、税金の過払いや保険料の過払いなど、さまざまな過払いがありますが、ここで話題にするのは、テレビ・ラジオや新聞チラシで見かける過払いのことです。

 この過払いの原因は高金利による貸付です。主に、アコム・アイフル・プロミス・レイクなどの消費者金融や、クレジット会社の貸付に関連して過払いが発生します。

 我が国には、利息制限法という法律があります。その法律によりますと、金銭を貸し付ける場合の利息は、
・元本が10万円未満の場合・・・・・・・・・・年20パーセント
・元本が10万円以上100万円未満の場合・・・年18パーセント
・元本が100万円以上の場合・・・・・・・・・年15パーセント
が上限であり、それを超える部分については無効としています。

 以前、消費者金融やクレジット会社は、他の法律に基づいて上記金利を遙かに超える金利で貸し付けしていました。29パーセント前後で貸し付けしていましたし、もっと高い金利の時代もありました。
 この頃の高金利と利息制限法による金利との差が、払いすぎた部分と言うことです。ですから、住宅ローンや車のローンでは、過払いは生じません。

 さて、それでは「どのように過払いが生じるか」を説明します。
まずは次の「利息制限法に基づく法定金利計算書」を見てください。
・・・「利息制限法に基づく法定金利計算書」・・・
このような計算を「引き直し計算」と言います。利息制限法を超える金利での取引を、利息制限法の上限金利に引き直して計算するから、そう呼ばれます。
このような計算書は、当然「引き直し計算書」と言います。

 この「引き直し計算書」の見方を要点だけ説明します。まず、左から「年月日」「借入金額」「弁済額」とあります。「年月日」欄は、借り入れしたり返済したりした日付です。「借入金額」欄には借り入れした金額、「弁済額」欄には返済した金額が記載されています。右から3列目の欄に「残元金」という欄があります。ここには引き直し後の元金額が記載されます。過払い金には5%の利息が付きますが、その額は「過払利息」の欄に記載されます。

 さてそれでは「残元金」の欄に注目してください。この欄の金額が引き直し後の元金額です。これは現実に業者から請求されていた金額よりも少ない額になります。この「残元金」の欄を上から下へずーっと見ていくと分かると思いますが、増えたり減ったりを繰り返しながら、「残元金」の額は徐々に減っていきます。そして、どんどん減っていってマイナスになります。この計算書では、マイナスは赤字で記載しています。このマイナス(-)の金額が過払い金額です。この計算書では、「残元金」つまり過払い金の元金が153万2487円です。

 これを見ると、次のことが分かると思います。

Ⅰ,取引開始後すぐに過払い金が発生するのではない。
(私の経験から言うと、29%ぐらいの金利での取引が6~7年ぐらい続くと、元金がゼロになり、その後の取引で過払いが発生する。取引期間が短くても、まとめて完済すると過払いになる。)
Ⅱ、過払いが発生しても、その後に大きく借り入れると過払いが消える。

 他にも過払いについて知って頂きたいことを、次に書きます。

Ⅲ、過払い金には、5%の利息が付く。この利息まで含めて請求できる。

 「利息制限法に基づく法定金利計算書」の「残元金」欄の右側2列に注目してください。「過払利息」と「過払利息残額」と記載されています。これが5%の利息の計算です。「過払利息」は一定期間の利息額で、「過払利息残額」は「過払利息」の合計額です。
 過払い金が発生している状態で、新たに借り入れすると、借入額に過払利息総額を充当して、残りを過払い元金と差引計算します。

Ⅳ、過払い金元金が140万円を超えると司法書士が代理できない。

 「利息制限法に基づく法定金利計算書」の過払い金元金は153万2487円ですから、司法書士は代理人として訴訟などできません。

Ⅴ、訴訟は、過払い金元金が140万円までは簡易裁判所、140万円を超えると地方裁判所で行う。
Ⅵ、過払い金請求訴訟は、通常、請求する人の住所地の裁判所で行う。
Ⅶ、過払い金にも消滅時効があって、それは10年である。
Ⅷ、取引が途中で完済している場合(これを分断という)は、分断の前から後の取引までを引き続きで計算するかどうか?で、請求する側と請求される側(業者)との間で紛争になりやすい。

 大体のことを書くと以上のようになります。

過払い金回収の実際

 さてそれでは、具体的にどのようにして過払金を回収するか?について、説明します。一般的な流れは次のようになります。

・司法書士や弁護士に依頼する。
・司法書士や弁護士が取引の詳細について聞き取る。
(取引に関する資料や記憶が有れば有る方が良い。しかし、無くても対応はできる。)
・司法書士などが、消費者金融業者に受任通知を出して、取引履歴などを請求する。
・司法書士などの事務所に、早ければ2~3日、遅ければ1ヶ月以上の後に、取引履歴などが送られてくる。
・司法書士事務所などが、送られてきた取引履歴を基に「引き直し計算」をする。
・事務所で、本人が取引履歴や「引き直し計算書」をチェックする。
・分断があれば、分断前後の状況について本人より聞き取る。その結果、一連計算について判断し本人に説明する。(一連計算とは、分断の前後を分けずに通して計算すること)
・確定した過払い金を利息を含めて消費者金融業者に請求する。多くの場合、訴訟によって請求する。
・判決や和解によって決着する。
・一定期間後、判決や和解における金額が司法書士などの口座に振り込まれる。
・過払い金から報酬や実費を差し引いて、残額を本人口座に振り込む。

という流れです。これで過払い金の回収は終了します。

実際に、不正があるので注意!!

 過払い金についての基本的なことは、以上に記載したとおりです。冒頭に《チェック事項》を書きましたが、それは「司法書士などが過払い金を依頼者に渡さない」などの不正が実際にあるからです。

 司法書士が不当な「引き直し計算」をしていた事件もあるようです。
次の「計算書」を見てください。
  ・・・「計算書」・・・
 これは、「利息制限法に基づく法定金利計算書」のデータそのままを、別の引き直し計算ソフトで計算したものです。計算方法の大きな違いは、次のとおりです。
 過払い金が発生している状態で、新たに借り入れした場合には、借入額に過払利息総額を充当しない。単に借入額を過払い元金と差引計算する。

 この「引き直し計算」の「残元金」、つまり過払い金の元金は103万6783円です。この計算書を使うと司法書士が代理できるという理屈が通るように見えますが、これは不当な計算です。本来は司法書士が代理できない事件について、この計算書を使って司法書士が代理すると弁護士法違反になると思います。過払い金の総額も小さく計算されますから、依頼者にも損害を与えることになります。

 依頼者は素人ですから分からないことが沢山あります。不正を働こうとすれば、いろんな方法で可能です。重々注意して頂きたいと思います。

 「過払い金」についての無料相談は、当事務所でお受け致します。
 遠慮無く相談してください。

 

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