合同会社とは

合同会社は、会社法施行(平成18年5月1日)により創設された会社形態です。
少子高齢化社会の日本において、会社の設立を増加し、日本経済の活性化を図るためにアメリカのLLC(Limited Liability Company)をモデルに創設されたもので、「日本版LLC」ともいわれています。
株式会社と同様の有限責任でありながら、会社の運営に対する法規制が少なく、定款自治が広く認められているので、個性的な経営体制、機関設計を組むことができます。 株式会社は、その所有者である株主が自ら経営するのではなく、株主によって選任された役員(取締役)に経営を任せる形態の会社ですが、合同会社は、基本的に出資者(社員)自らが経営にあたり、業務を執行するため、機敏な経営を実現しやすい形態の会社です。 個人企業の法人成り、企業間の共同事業である合併会社(ジョイント・ベンチャー)、ベンチャー企業、子会社の設立等に適した会社形態といえます。
法務省の登記統計によると、合同会社の設立件数の推移は、次のとおりです。

件数
平成18年 3,392
平成19年 6,076
平成20年 5,413
平成21年 5,771
平成22年 7,153
平成23年 9,130
平成24年 10,889
平成25年 14,581
平成26年 19,808
平成27年 22,223
平成28年 23,787
平成29年 27,270

合同会社の設立件数は、年々増加していることがわかります。

合同会社のメリット

(1)設立費用が安い。
例)資本金300万円 電子定款の場合
・登録免許税 6万円  
・定款認証の手数料なし
※これに対して、株式会社の場合は、  
・登録免許税 15万円  
・定款認証の手数料 5万数千円  
必要となります。

※電子定款ではなく、定款を紙で作成すると4万円の収入印紙が必要となります。

(2)定款について公証人の認証が不要です。
・定款認証の手数料がかかりません。

(3)定款を自由に定めることができます。
・剰余金の配当、残余財産の分配、機関設計等を自由に定めることが出来ます。

(4)業務執行社員及び代表社員の任期がありません。
・株式会社の場合、役員の任期ごとに変更登記をする必要がありますが、合同会社の場合、任期の制限がありませんので、変更が無ければ登記する必要がありません。ただし、定款に任期の定めを設けることは可能です。この場合、業務執行社員が任期満了後、直ちに再度指定された場合は、変更登記は不要となっています。

(5)法人も業務執行社員になれます。

(6)現物出資について検査役の調査が不要です。

(7)計算書類の公告義務がありません。

(8)経営の効率化、意思決定の迅速化が可能です。
・株式会社のように株主総会、取締役会、監査役等の機関が設けられていないので、迅速な意思決定と機動的な経営ができます。

(9)大会社の規模になっても、会計監査人や監査役の設置が義務付けられません。

(10)無限責任社員が不要です。
・他の持分会社である合名会社,合資会社には、無限責任を負う社員が必要ですが、合同会社では株式会社と同様に出資の範囲内で有限責任を負うのみです。ですから出資者が無限責任を負うことはありません。

(11)出資金額に関係なく、利益の配当額を定めることができます。
社員の有する特殊な技能、知識、才能等会社に対する貢献度に応じて損益分配の割合を定めることが出来ます。
(12)株式会社への組織変更が可能です。
・ベンチャー企業等は、とりあえず合同会社で起業し、その後、経営状況を判断して上場等を目指す場合には、株式会社へ組織変更することも可能です。人が亡くなると故人の財産は、配偶者や子供達などに相続されます。

合同会社のデメリット

(1)社会の認知度が低い。
・平成18年に創設された会社形態なので、まだ一般に周知されていないというデメリットはあります。しかし、その設立は、徐々に増加していますので、中小企業の場合、合同会社のメリットは大きいといえます。

(2)上場できない。

(3)1社員1同意権が原則のため、社員間が不仲となった場合の会社運営が硬直化する可能性がある。
・一人会社であれば問題ないのですが、複数社員の場合は、慎重なルール作りが必要でしょう。