隣からの葉や虫

「隣からの葉や虫」の問題は、かなり多いと思われます。
例を挙げると、
・隣の木の枝が越境している。
・隣の木の葉が落ちてくる。それで雨樋が詰まる。
・隣の空き家から蚊などの虫が大量に発生する。
・雑草や竹やぶが繁茂している。
などでしょうか?

本当に困った問題です。
そして被害者の方は市役所・町役場に相談されます。
しかし、なかなか解決しない。
さて、どうするか?
その解決策を検討してみましょう。

まず、隣からの被害を
「隣の木の枝が越境している。」
「隣の木の葉が落ちてくる。それで雨樋が詰まる。」
に絞って検討します。

すぐに考えつくのは次のようなものです。
①枝の切除
②不法行為基づく損害賠償請求
③所有権に基づく妨害排除請求
また、隣が空き家の場合は、
④空き家対策法(正式名称:空家等対策の推進に関する特別措置法)による対応
も検討すべきです。
また、令和5年4月1日からは、新たな財産管理制度として
⑤管理不全土地管理命令・管理不全建物管理命令
もスタートしますので、これも検討すべきです。

さて、まずは①枝の切除ですが、現在の民法233条では越境している枝については、切除請求ができるとなっています。これが、令和5年4月1日からは一定の条件のもと、越境された土地の所有者が切り取ることができるようになります。ただ現実の問題として、この法改正はあまり意味が無い場合が多いと思います。枝だけの問題なら解決しますが、通常は枝の越境は問題のほんの一部なので、この条文だけでは解決しない場合が多いと思います。

次に②不法行為基づく損害賠償請求を検討します。
不法行為の条文である民法709条には、
「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」
と規定されています。
この条文に基づいて損害賠償請求することが考えられます。
ただし条文上に記載は無いですが、「受忍限度を超える」ことが条件になります。
この場合の損害額は被害者の方で計算しないといけません。
請求して相手が任意に支払えば良いですが、拒否された場合は訴訟等をすることになります。
訴訟の場合は、損害額については原告(被害者)が立証しないといけません。ですから、損害額の計算は根拠の無い計算ではいけないと言うことになります。
損害額を計算して請求しますが、実際に入金にまで至るかどうかは「債権回収」の問題で、これ以上ここでは言及しません。

平瀬事務所では、この回収額で問題解決の費用を賄えるようにしたいと考えています。
この場合の損害額は慰謝料がメインになります。
慰謝料は、日本においては安いのですが、どうにか損害に相当する慰謝料を回収したいと思います。
損害賠償請求することによって、損害額を回収するだけではなく問題の根本的な解決に繋がる可能性もあると思います。

次に③所有権に基づく妨害排除請求を検討します。
隣の木の枝が越境し、落葉等により雨樋が詰まるなどの損害が発生している場合は、被害者所有の不動産の利用を妨害されているので、所有権に基づく妨害排除請求が可能です。
 ただ、加害者が任意に対応してくれればいいですが、そうではない場合は訴訟などが必要です。その場合は、費用や目的達成の程度など慎重に検討する必要があります。

次に隣地に空き家が存在している場合は、④空き家対策法による対応を検討します。
 これについては、市役所・町役場が中心になって進行しますので、被害者側としては被害状況を報告するなど行政に強く働きかけることが必要です。それによって、空き家の所有者に対する行政処分の発出を促すことになります。

次に、⑤管理不全土地(建物)管理命令ですが、令和5年4月1日からの制度なので詳細は把握していません。地方裁判所に申立が必要ですが、費用等の面で被害者にとって利用価値のあるものであればと思います。

隣からの被害が、
「隣の木の枝が越境している。」
「隣の木の葉が落ちてくる。それで雨樋が詰まる。」
というような場合は、通常、以上のような解決法を検討することになります。そして、ケースバイケースで最も効果的な方法を選択することになります。
実際に現場を見て被害状況を聴取すると、何か他の選択肢が現れるかもしれません。

 以下、今後徐々に記載していきます。

 

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