相続手続で注意すべきこと

相続を放置してはダメ!!

 すでに発生した相続を放置して、良い方に転ぶことは、ほとんど有りません。
100パーセント無いとまでは言いませんが、100パーセントに近い確率で良いことは無いと思います。

 なぜかと言いますと、時間が経つにつれて相続人が増えていくのが通常だからです。なおかつ、相続人が増えていくに従って、縁遠い相続人が増えていきます。遺産分割協議を進める上で、相続人が多いことと縁遠い相続人が多いことは、大きな負担になります。結果、費用も時間も多くかかってしまうことになります。中には、相続を諦めてしまう方もいらっしゃるようです。

 国や地方自治体などの事業においても、相続がされていないことによって支障が生じています。
 ですから、相続が発生した場合は、早めに処理されることをお勧めします。

相続登記では一部の不動産の登記漏れに注意!!

 実際に時々あることですが、被相続人(故人のこと)の不動産の一部につき登記し忘れている場合があります。自宅だけしか不動産が無い場合は、まず起こりえないのですが、あちこちに沢山の不動産を持っている方の場合は注意が必要です。

 一部の不動産について登記をしていない場合は、後日再度、登記申請する必要があります。自分で登記申請するのであれば良いのですが、司法書士に依頼する場合は、報酬が再度の登記申請分だけ高くなります。もしかしたら、再度他の相続人から印鑑を貰う必要が出てくるかもしれません。ですから、被相続人の全部の不動産を漏らさず一度に登記すべきです。

 不動産を漏れなく登記するためには、被相続人の土地家屋名寄帳を市役所で取り、事前にすべての不動産を把握する必要があります。

 土地家屋名寄帳についての注意点を2つ書きます。
1,被相続人と誰かの共有不動産については、市役所の窓口で「共有不動産は無いですか?」と聞いてください。聞かなくても共有不動産まで自動的に出してくれる役所もあるでしょうが、念のために聞いた方が良いでしょう。

2,土地家屋名寄帳は市役所毎に取る必要があります。土地家屋名寄帳は、その市内の不動産だけしか記載されていません。ですから、被相続人が福岡と札幌と宮崎に不動産を持っていたら、その3カ所の役所で取る必要があります。 

 相続登記の時点では当たり前ですが、すでに不動産の所有者はこの世におりません。本人なら不動産全部について認識できても、相続人には分からないこともあり得ます。山林や農地を多く持っている方などについては注意すべきだと思います。また、宅地でも狭い土地は見落としがちです。
 漏れなく全部の不動産に相続登記がされるように注意してください。